「わからなさ」を楽しむ数学教師の挑戦。

主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)を教師も実践!公立定時制高校の教務主任です。

【授業実践】命題の真偽。休み時間を超えて考える姿に感動。【数学I】

今日は数学I、命題の真偽の内容。

 

授業のデザインは以下の通り。

 

【導入】

1.前時で生徒が作った問題を使って、集合を復習する。

 

【展開】

2.3つの文が正しいか、正しくないかを考えることで、命題とは何かを学ぶ。

3.命題の真偽を考える。

4.命題の否定を考える。

 

【まとめ】

5.本時で学んだことを生かし自作問題を作成し、交換して解き合う。

 

では、生徒の学びを見ていこう。

 

展開2では、次の3つの文が〇か✖️か考えることにした。

 

〇〇先生は、数学の先生である。

〇〇先生は、身長180センチである。

〇〇先生は、イケメンである。

(〇〇には、私の名前が入る。ちなみに、私は身長167センチ。)

 

女子生徒が口々に「〇✖️✖️や!」と叫ぶ。

私をかわいそうに思った男子生徒が、「オレは〇✖️〇やと思うでー!」と助け舟。

 

その中、ある女子生徒が「〇✖️△ちゃう?」とつぶやく。

 

私はすかさず、「なんで△なん?」とツッコミを入れる。

「だって、イケメンの定義って人それぞれ違うやん。前なんかでからんかった?」と、女子生徒が答えたことに感激。

 

確かに以前の授業で集合を扱うときに、そのようなことを言った。

 

ちゃんと覚えていてくれるんだなーとうれしくなった。

 

そして、生徒の学びが深まったのは展開4。

 

「x>3」を否定せよ。

という問題。

 

答えは、「x≦3」である。

機械的に「不等号をひっくり返して、=をつけるだけ」で終わりになりそうなところである。

 

しかし、生徒たちは違った。

答えを共有した場面でも、納得した顔をしていない。

 

ここはチャンスと思い、「〇〇さん、どう?納得した?」とふると、「全然わからん。」との返事。

 

ここで、私が説明しようとドンドン話をした。

すると、生徒たちがドンドンわからなくなっている顔をしてきた。

 

授業の残り時間のこともあるし、このまま説明して終わろうかとも思った。

 

しかし、生徒の真剣に考える顔を見て私は決心。

「じぁもう一度時間あげるから、考えてみて。グループで共有してもいいし。」

 

敢えて時間がかかりそうな方を選んだ。

 

すると、生徒たちはさらに考える。

 

あるグループでは、

「≦ってなんなん?」

「そっから?笑 これはな・・・」

という会話も聞こえてきた。

 

案の定、チャイムがなってしまったので、

「じぁ納得した人から、解散にしようか」とする。

 

「あ!なるほどー」とうれしそうに休憩する生徒もおれば、何人かの生徒はまだ考える。

 

次の授業が始まるので一度お開きにした。

 

その次の授業後、先程のクラスの生徒が「先生!わかったで!」と嬉々として私に駆け寄ってきた。

 

どうやら次の国語の時間もずっと考えていたようだ。

 

その顔を見て、時間通りに押し切らなくてよかっと安心。

 

生徒たちは考えることを楽しめている。

それを精一杯支えるのが教師の仕事ではないだろうか。