「わからなさ」を楽しむ数学教師の挑戦。

主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)を教師も実践!公立定時制高校の教務主任です。

【授業実践】授業の進化。「わからなさ」の先にあるもの。【振り返り・アンケート・臨時休校でできること】

臨時休校の間にしたいこと。

 

mathteacher.hatenablog.com

 

この1年間の授業の振り返りをしている。

 

休校になる前に、「数学を通して学んだことはなにか?」を生徒に書いてもらった。

 

「わからないことをわからないと言うことが大事だと学んだ」

例年、多くの生徒がこのように「学び合い」のことを書く。

 

しかし、今年度は違った。

「教科書をよく読むようになった」

「覚えるだけでなく意味を理解するようになった」

「受動的から能動的へのターニングポイントだった」

「友達の考えを聞いて、そんなんあるんか!と楽しかった」

「数学はもともと苦手だが、数学を通して様々な角度から物事を見るという考えが身に付いた」

といった生徒の声が昨年度より増えた。

 

これはなぜだろうか。

 

私が考えるに、次の2つが理由ではないだろうか。

 

➀授業のデザインが「演繹」から「帰納」に変わった

②生徒が自己決定できるようになった

 

それぞれを見ていく。

 

➀『授業のデザインが「演繹」から「帰納」に変わった』について。

 

数学の授業は基本的に「演繹」的だ。

教科書を順番に解くと、スモールステップになっている。

 

今年度の授業では、その順番をあえて逆にして

「応用問題を通して基礎を学ぶ」ような流れにした。

 

問題を考える過程で、自分たちで知識・技能を習得するのだ。

生徒たちの「わからない」から「納得解」を引き出す。

 

「納得解」を出す中で、仲間の考えに感動したのだろう。

 

教師がやり方を示さないので、生徒は自由に考える。

その結果、いろいろな考えがでてくる。

 

だから「様々な角度から物事を見る」ことができるようになったのだろう。

 

帰納」的に授業をデザインする。

そのための課題にも工夫をした。

 

教科書の問題を少しでも自分事にできるように、問い方を変えてみた。

あるいは、「実社会」と数学をつなぐようにもした。

 

授業前の準備が大事になった。

 

②『生徒が自己決定できるようになった』について。

 

もともとグループの座席で授業をしてきた。

しかし、「わからない」ときは無理やりでも他者と対話するように声をかけていたのだ。

 

これを変えた。

「ゆるやかな協働」に。

 

生徒は個人で学びに向かう。

一人で学べなくなったときに、仲間を活用できる。

 

仲間だけでない。

対話する相手は、仲間、教科書、問題、そして自分。

 

生徒が対話する相手を「自己決定」するのだ。

自己決定によって、学びが「自分事」となる。

 

これが生徒の言う「受動的から能動的」ということだろうか。

 

「能動的」な学びには、「自己決定」が不可欠だ。

 

考えるに、授業は「縦糸(教師の授業デザイン)」と「横糸(生徒の協働)」で成り立つ。

一斉授業で「縦糸」ばかりでも、ただのグループ学習で「横糸」だけでもいけない。

 

中嶋みゆきさんの『糸』にあるように、

2つの糸を織りなすことで、よりよい授業になるのではないか。