「わからなさ」を楽しむ数学教師の挑戦。

主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)を教師も実践!公立定時制高校の教務主任です。

【授業実践】余弦定理と三角比の相互関係を読み解く。生徒の思考から。【数学I】

数学Iの三角比の授業から。

 

今日は、3辺の長さから三角形の内接円の半径を求める問題。

 

教科書はいきなり内接円の半径を求める問題になっている。

 

教科書の解答は次のような流れだ。

1.余弦定理を用いてcosを求める。

2.三角比の相互関係を用いて、sinを求まる。

3.三角形の面積を求める。

4.内接円の半径を求める。

 

とてもキレイな流れだ。

 

この問題、あえて(1)から(3)の小問に分けてみた。

(1)cosAの値は?

(2)三角形の面積は?

(3)内接円の半径は?

 

そして、生徒のつぶやきはおもしろい。

(1)でcosを求めた後のつぶやきは次のようなものだ。

 

「cosは出たけど、角度でーへんやん。」

「面積を求めるからsinを使いたいけど、さっき求めたんはcosやん。なんでなん。」

 

教科書を見ても、文脈が読めないようだ。

理由としては、生徒の思考と教科書の解答の流れが一致していないからではないか?

 

つまり、生徒たちは、このような思考の流れをしているからではないだろうか。

1.余弦定理を用いてcosを求める。

1.5.面積を求めたい。けれど、角度Aの大きさがわからん。sinもわかってない。どうしよ。

2.三角比の相互関係を用いて、sinを求める。

3.三角形の面積を求める。

4.内接円の半径を求める。

 

1.5の見えない文脈を考える。

これを生徒に習慣化したい。

 

次のクラスで、全く学べずに止まっている生徒がいた。

教師が支援する際に、1.5の見えない文脈を意識して、支援した。

すると、「あ!sinの2乗とcosの2乗のやつか!」と気づくことができた。

 

一人の生徒の真実から見えてきたことは、他の生徒にも大いに支えになる。

 

公式を使うだけでなく、

「なんでその公式を用いるのか」

と自分なりに考えて、根拠を持てる生徒にしたい。

 

今日の問題ならば、(1)をやる前に、「内接円の半径を求める」という最終の課題を示してもよかったかもしれない。

 

そうしたから、次のように考えられたかもしれない。

 

1.内接円の半径かー。面積求めないとあかんかな。

2.面積を求めるに角度に関わる値がいるな。

3.今は3辺がわかってるから、まずは余弦定理でcosを求めてみようかな。

4.次は面積を求めたい。けれど、角度Aの大きさがわからん。sinもわかってない。

5.三角比の相互関係を用いて、sinを求めてみよう。

6.これで、三角形の面積を求められる。

7.最後に内接円の半径を求められるわ!

 

最初に余弦定理でcosを求めることも意味づけができたかもしれない。

次に生かしていく。

 

ただ教科書をこなしてきるだけでは生まれない。

そんな生徒の「わからなさ」から出てきた今日の学びである。