「わからなさ」を楽しむ数学教師の挑戦。

主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)を教師も実践!公立定時制高校の教務主任です。

【授業実践】地面に埋ってる??空間図形に潜む罠。

今日は数学Iの空間図形の問題にて。

 

私は、文章問題を読み上げる。

あえて黒板に図や文章問題の本文を書かずに、聞きながらイメージができるようにしたいと考えている。

 

今回の空間図形ではなおさらではないか。

教師が図形を先に書いてしまうことで、生徒が自分で空間を把握して自分でイメージするチャンスが失われると考える。

 

今日の問題は次のように読み上げた。

「大きなタワーの高さを測りたい。タワーの頂上をP、頂上の真下をHとする。タワーから離れた2地点AとBの距離は10mである。Aからタワーの頂上を見上げると角度は60°であった。タワーの高さを求めよう。ただし、人の身長は無視する。」

 

早速、生徒たちは図を書く。

 

見ていて楽しい。

思い思いの捉え方で図を書くからだ。

生徒なりの思考が生かさせる。

 

図を書けた生徒は、

「ここ60やん。ここ90で、残り30やん。1:2:√3使えるやん。あ!あとはAHいるんか!」

と、考えを巡らす。

 

教科書はいきなりAHを求める解答になっているが、生徒の思考の流れは違うようだ。

 

半分くらいの生徒が図を書けて、さぁ考えていこうというタイミングで、ある生徒がつぶやいた。

 

「あれ?B埋まってるやん。」

 

私の頭にクエッションマークが浮かぶ。

 

「ほんま、埋まって見える。」

と他の生徒も言い出す。

 

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このような図だが、確かに埋まって見える。

 

ちなみに、他の生徒は

「私のはAが浮いてる。」

「私のはAもBも埋まってる。」

と言っていた。

 

図によって見え方が違ってくる。

 

聞けば聞くほどおもしろくなってくる。

 

黒板で「埋まってる」問題をみんなで共有してみた。

 

生徒それぞれが、「あー。」とか「たしかに。」とか言いながら、再度自分の書いた図と比べる。

 

教室の中で、実際に人を立たせて考える生徒やスティックのりを立てて、立体的にイメージしている生徒もいた。

 

その発想が素敵だ。

 

ある生徒は、

「先生の図はタワーが平面だからもっと立体的に書いた方がいい」

とアドバイスをくれた。

その生徒は絵が上手いので、上手に図形を書いていた。

 

「Bが埋まってる」という「わからなさ」が他の生徒同士をつなげる。

 

「あ!そうか!埋まってないわ!」

仲間の助けを借り、自分で気づくことができたようだ。

 

問題が解ける解けないも大事だが、こういった生徒の「わからない」をより大事にしたい。

 

今日も楽しい授業であった。